仙台市泉区根白石は、政宗公の祖母栽松院(久保姫)のお墓があります。
久保姫は奥州一の美少女として有名だったそうで、嫁ぎ先も決まっていました。
その嫁入り行列を襲撃して姫をかっさらったのが、政宗公の祖父晴宗公です。
晴宗公は生涯側室を持たず、久保姫との間に11人の子をもうけるほど、ふたりは大変仲が良かったといいます。
嫡男は、久保姫の実家の岩城家を継ぎ、二男(輝宗―政宗の父)を嫡子としました。
久保姫は通称笑窪御膳といわれるほど、さぞかし愛らしい人であったろうと思いますが、
もしも、晴宗公が一目ぼれして強引に奪うほどの器量ではなかったとしたら、
政宗公も存在していないし、この仙台も別の世界線にあったかもしれない。
だから、栽松院様の存在はとても大きいのです。
というようなお話を、満興寺のご住職の奥さまE子さんから聞かされ、
またひとり歴史の表舞台には出てこない伊達家関係者に、興味をそそられました。
政宗公は、栽松院からとても可愛がってもらったという記録があります。
栽松院亡き後は、お墓詣りに訪れる際にここ満興寺でご休憩されたといわれています。
E子さんから貴重な史料をいただきました。
満興寺第11代光達長老のとき、政宗公が立ち寄った際のこと。
ご案内した和尚に向かって政宗公が「白石に住む僧なら、地名にちなんで白い衣を着ればいい。なぜ黒衣なのだ?」
とふざけてお訊ねになった。そこで光達和尚はすかさず答えた。
「白石に住み着く(墨付く)ゆえに黒染めの衣にございます」
政宗公は、(この粋な返しを気に入ったのか)その後たびたび満興寺を訪れ、門前にお仮屋を建て何度かお越しになった。
という内容です。
手前は政宗公、後ろ左は栽松院様、右は晴宗公のお位牌です。
E子さんに本堂を案内していただきました。感無量です。
*新著「星の街仙台」では、後半の小説部分33~35ページ、根白石が舞台となるシーンで、
小次郎が幽清を連れて「たのもー」と訪問したあのお寺です。
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